日本人と外国人が結婚すると、その外国人の在留資格(ビザ)は、「日本人の配偶者等」になります。
日本人同士の結婚と同じように、残念ながら離婚するときもあります。
日本では、役所に離婚届を提出することで離婚は成立しますが、
- 離婚届を提出する「前」
- 離婚届けを提出した「後」
にわけて在留資格をみていきます。
離婚届を提出する「前」ということは、まだ離婚になっていませんが、子供がいれば親権、慰謝料などで、もめていることがあります。そして、裁判中ということもあります。また、別居し、夫とは違う住所で生活してことも多くあります。
「日本人の配偶者等」の在留資格(ビザ)更新申請を入国管理局にするとき、原則、夫婦は同じ住所で生活していることが大原則です。夫婦が違う住所で生活している場合、正当な理由がないときは、不許可もあります。
離婚に向けての裁判をしているときは、入国管理局では、「日本人の配偶者等」の更新には、「日本人の配偶者等 6月」を与えることが多いです。離婚が成立すれば、その後、「定住者」や就労資格に変更することになります。
上記のように、離婚が成立したら、つまり、離婚届けを提出した「後」は、定住者や就労資格に変更をするのが原則です。
しかしながら、今回、定住者が不許可になったフィリピン人女性が相談にきました。
現在、特定活動(出国準備期間)なのですが、そのフィリピン人女性は、「裁判をしてるから、ビザを更新してほしい」とのことです。定住者の申請を入国管理局にして、「不許可」になったとのことです。
資料をみせてもらうと、すでに離婚も成立しております。
「うーん?何の裁判?」
他の資料をみると「離婚無効の訴え」というものです。つまり、「アコはリコンはシテナイヨ!」ということです。
以前、結婚していた夫が勝手に、離婚届を役所に提出し、家を追い出されたとのことです。
こんな場合、入国管理局はどんな対応をするかというと、合理性があれば、「短期滞在」にして、裁判中のみは、滞在できるようにします。
今回の案件をもう一度、整理します。
- フィリピン人女性は、日本人男性と結婚していた。
- 日本人男性が、フィリピン人女性に知らぬまに、離婚届を役所に提出。婚姻期間は2年。
- フィリピン女性は、離婚の事実を知って、すぐに離婚無効の調停をする。調停不調で裁判になる。
- フィリピン人女性は、在留期限がきたので、定住者に変更申請するが、婚姻期間が2年のため不許可。
- 特定活動(出国準備期間)1月を入国管理局よりもらう。
- 「センセイ ワタシ マダ ニホン ニ イルヨ」短期滞在90日の申請をしてほしい!
こんな感じの流れですが、仮に離婚無効が認められ、2人が夫婦にもどったとしても、夫婦生活がもとどおりにできるかどうかは疑問が残ります。
つまり、在留資格(ビザ)も不安定になる可能性は、十分にあります。
行政書士 瓜生寛