在留資格(ビザ)の定住者には、「告示定住」と「告示外定住」があります。
外国人が、日本人等と離婚したあとにも、日本に住みたい場合、「離婚定住」と「日本人実子扶養定住」という「定住者」の在留資格(ビザ)があります。
どちらも「告示外定住」という形になります。告示外定住は、「在留資格認定証明書(よびよせ)」の交付の対象にならず、基本的には「短期滞在」で上陸したあと、「在留資格変更申請」になってしまいます。
だからこそ、外国人の方が日本人等と離婚や死別したあとは、日本にいる間に在留資格(ビザ)「定住者」に変更手続きをした方がいいわけです。
まず、外国人のあなたと別れた旦那さんや奥さんの間で子供がいたとします。
日本では、離婚のとき「親権」というものを定めます。「親権」とは、「子供の代わりに法律的なことをおこなう」ということです。父親あるいは母親がのどちかにに「親権」を決めないと、離婚手続はできません。
そして、この「親権」の中には、「監護権」というものがあります。「監護権」とは、「どちらかの親が、子供の近くにいて面倒をみる」ということです。通常、「親権」と「監護権」は、切り離しをせず、父親か母親になることが多いです。
しかしながら、たとえば、「親権をもっていないフィリピン人母親」に「監護権」だけを与えることもできます。その理由として、「子供の法律の代理人」としては日本人父親がおこないますが、子供が幼く母親になついているので、「監護権」は、フィリピン人母親にしよう!というような場合です。
子供がいる場合の、「離婚定住」や「日本人実子扶養定住」の違いは、上記の「親権」があるかどうかになります。
子供の親権がない場合、「離婚定住」となります⇒子供の親権はないが、「監護権」があり、子供と一緒に住み、面倒をみている。
子供の親権がある場合、「日本人実子扶養定住」となります⇒子供の親権(監護権もある)があり、子供と一緒に住み、面倒をみている。
そして、どちらの定住者を取得するにしても、入国管理局は、子供の面倒をみる「親の収入」をみてゆきます。これは、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有しているか」という部分です。
日本人の実子の「親権」をとり、監護し、面倒をみてゆく外国人親は、収入が十分といえなくても、入国管理局より「定住者」の在留資格(ビザ)が認められる可能性は大きいです。だからこそ、離婚のとき、「親権」をとりにいった方が在留資格(ビザ)がとりやすい!ということになります。
また、収入=独立生計要件ですが、「元夫からの援助」や「祖父母から援助」のみでは、認められません。これは、あくまでも、補助的な部分であり、離婚して、子供の親権をもっている外国人親が、「日本でしっかり働いていきます!」という意思をみせなければ、入国管理局は、定住者の許可をしません。
反対に、外国人の親が離婚後、日本人との間の子供がいるにもかかわらず、「親権」や「監護権」がない場合はどうでしょうか?
この場合、「日本人実子扶養定住」は認められす、日本人との間に子供がいないと同じ、「離婚定住」で入国管理局には審査されることになります。
この離婚定住は、離婚した外国人の「日本での定着性」をみて、入国管理局が「定住者」として認めるかを判断するものです。入国管理局の審査要領では「実体のある婚姻生活が3年以上継続していること」となっているようですが、「3年以上」でも認められない場合がありますので、できるだけ長い方がいいでしょう。できるだけというのは、あいまいですが、「4年6ヶ月」くらいは必要と考えます。
行政書士 瓜生寛