VISA GOODセンターに問い合わせのあった案件です。
「永住」の在留資格(ビザ)をもつルーマニア人女性がいます。このルーマニア人女性は、以前、日本人との婚姻歴があり、日本の役所には「離婚届」を提出しています。
しかしながら、ルーマニアにおいては離婚裁判をしておらず、婚姻状態にあります。
今回、婚姻関係のない日本人男性との間に子供ができました。この場合、生まれてくる子供の「在留資格(ビザ)」、「国籍」等はどうなるのでしょうか?
また、子供の出産後、ルーマニア人女性と日本人男性とは結婚を考えています。
【胎児認知届について】
「胎児認知」は、結婚していない父母の間に子供ができ、これから生まれてくる赤ちゃんを「父」の意思により認知するときに役所に提出します。
赤ちゃんが無事に生まれた日から、「認知」の効力が発生します。つまり、役所に「出生届」を提出しない限り、父親の戸籍に子供の記載はされません。
通常、お父さんの戸籍、母の承諾書で受付してくれると思いますが、外国人とその子の場合、役所により必要書類が異なりますので、まずは役所に相談してください。
無事に赤ちゃんが生まれれば、胎児認知により赤ちゃんは、「日本国籍」になります。
ルーマニア側にも、子供が生まれたことを報告すれば子供は「二重国籍」を取得することになりますが、ルーマニア側の離婚の手続きが終了後に届出を提出するようになると思います。詳細は、在日ルーマニア大使館にお問い合わせください。
【胎児認知届を提出しない場合について】
胎内認知をしない場合、赤ちゃんは、永住者ルーマニア人の母親をもつ「ルーマニア人」ということになります。このときは、生まれてから30日以内に入国管理局に「在留資格取得申請」をします。
通常、永住者の子供の在留資格(ビザ)は、「永住」になります。永住なので、国籍は「ルーマニア」です。
【胎児認知せず出生後に父親が認知する】
生まれた赤ちゃんは、入国管理局に「在留資格取得申請」をすることで、日本にいることができます。
その後、出生後、今回のケースでは、法務大臣に認知届をすることにより、赤ちゃんは日本国籍を取得することができます。
【2人の結婚について】
2人の結婚には、婚姻具備証明書(=独身証明書)が必要になります。ルーマニアでは、離婚は裁判によるものとされているようなので、ルーマニアでの裁判が、原則必要になると思います。
しかしながら、ルーマニアの書類で、ルーマニア女性の「婚姻の履歴」が記載された書類があれば、日本の役所で「独身証明書に代わる書類としての申述書」で婚姻できる可能性もあります。婚姻履歴の書類とは、「婚姻が1回で、離婚した日本人男性名前が記載されている」というような書類です。しかしながら、ルーマニアにこのような書類があるかどうかは確認がとれていませんので、ルーマニア現地、大使館等で確認してください。また、日本の婚姻届を提出する予定の役所にも、事前にご相談ください。
また、赤ちゃんについては、、認知により非嫡出子(婚姻関係にない男女からうまれた子供)となっていますが、結婚により「婚姻準正」となり、嫡出子(婚姻関係にある男女から生まれた子供)ということになります。
行政書士 瓜生寛